プログラマブルスイッチャーの自作#4 DeMultiplexer ICの選定

1:8 Multiplexer/DeMultiplexer ICの選択
既に決めてある仕様は
1. 電源は+/-12V
Multiplexer/DeMultiplexer ICの前後にバッファを設けているが、バッファは増幅度1の非反転増幅器。片電源で動かすとどうしてもバイアスを与えるためコンデンサーが必要になってしまう。この結合コンデンサーが多かれ少なかれ音に着色してしまう。結合コンデンサーを無しで動作させるために+/-の両電源にする。

ギター用のエフェクターのスイッチャーなので+/-5Vくらいで十分なのでは?とも考えたが、どうせならシンセとかLINEレベルの楽器にも使えるようにしたい。なので+/-12Vにする。

mouserとかdigikeyとかRSとかで数種類の目ぼしいICをピックアップ。

型番 メーカー 形状 ON抵抗 ON時間 OFF時間 Off Isolation Crosstalk 概算価格
ADG1408LYCPZ-REEL7 ANALOG DEVICES LFCSP-24 4ohm 184 ns 207 ns -64dB -70dB 1507円
ADG1408YRUZ-REEL ANALOG DEVICES TSSOP-16 4.7ohm 120 ns 120 ns -70dB -70dB 1493円
TMUX7208PWR TI TSSOP-16 5.4ohm 205 ns 248 ns -82dB -85dB 960円
TMUX4051PWR TI TSSOP-16 60ohm 100 ns 90 ns -95dB -90dB 101円

一番価格の安いTMUX4051PWRがON抵抗の数値は一番悪いが他の項目は一番優秀。

TMUX4051PWRのON抵抗の60オームがどれくらい影響有るのか机上検証。

Fig:1 ON抵抗の影響

バッファーの出力インピーダンス:Zo 10オームとする。
信号: Vin 1Vp-pとする。
ICのON抵抗: Ron
バッファーの入力インピーダンス:Zi 1Mオームとする。
IC通過後の信号: Vout

Vout=Vin(Zi/Zo+Ron+Zi)
で算出できる。
採用したいTMUX4051PWRとON抵抗の値が最も優秀な(価格も優秀)ADG1408LYCPZ-REEL7をFig:1のVoutの値で比較してみる。

型番 ON抵抗 信号: Vin C通過後の信号: Vout
ADG1408LYCPZ-REEL7 4ohm 1Vp-p 0.999986000196Vp-p
TMUX4051PWR 60ohm 1Vp-p 0.9999300049Vp-p

ほとんど変わらないのでは。まあ実際に作ってみて”何か音変わる”って思うかもしれんが、電気的には見劣りしない。
TMUX4051PWRで良いと思う。少なくともこの程度の差で10倍以上の価格差は無いと思う。

ただし、バッファーの入力インピーダンス:1Mオーム以上、出力インピーダンス:10オーム以下、にしなくてはならない。